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大仙での生活
大仙での生活
大曲地域にある「share spaceキタマルコ」で行われた秋田県立美術大学の大学院生である小椿-こはる-さんの活動報告に参加してきました。
秋田公立美術大学の大院生である小椿さんが市内3つの中学校で「絵」の鑑賞会をして
その報告を聞き、参加者みんなで感想を共有しました。
「絵」といっても絵画ではなく、1枚の「布」で、
中学生たちはその「絵」を様々な場所で
「見て」「触って」「被って」絵を体験して、
中学生の考え方がどのように変化していったのか、
どんな工夫をして絵を楽しむのか、
映像や話をきいて、参加者みんながどう感じたのかなどをみんなで話して共有する。
それが一連のプログラムです。
小椿さんはデッサンで描いた「みかん」を「セミの抜け殻」だと勘違いされたことがあります。
薄皮が剥がされ、白い筋もキレイに取られた「みかん」は確かに「セミの抜け殻」に見えます。
しかし小椿さんは「みかん」を描いていたので「みかん」にしか見えません。
「人によって見え方が違う」ということに面白さを感じ、より大きなことに挑戦することを考えました。
プロジェクトに参加したのは大仙市内3つの中学校の生徒。
思春期真っ盛りで他人と違うことを良しとしない。目立つことをしない難しい時期ですが、
そんな彼ら彼女らも自分で小椿さんの用意した「絵」の楽しみ方を模索していき、自分でも自宅などで挑戦するようになりました。
「絵」といっても小椿さんの用意したものは1枚の「布」です。
それを掛けたり被ったり、吊るしたり、
近くで見たり遠くから見たり、被ったり、
中学生たちは自由に「絵」を楽しんでいました。
「3次元的絵画を作ることが目的ではない」と話す小椿さん。
最終的に作られたのは生徒たちの「考える力」でした。
「どうやったらどう見える」「なぜそう思うのか」
プロジェクト中、小椿さんは中学生達にそう問いかけ続けました。
その報告会に参加していたプロジェクト参加校の先生は
「生徒達の言葉の選び方や語彙、感じ方が変わった」と教えてくれました。
報告会を聞きに来ていた男性は
「会社の研修でも使えるかもしれない」と話してくれました。
私もこの報告会で
「企業のブランディングを行うときは関係者の感じ方や意見を聞いて言葉を独自に定義している」と話しました。そうしたワークショップでこの手法は有効ではないかと考えたためです。
突然「絵を描け」「色をつけろ」「絵の具はあそこだ」と
言われるだけが美術ではない。
生活する上でとても大事な「考える力」を養うのが美術なのだと感じました。
2024年9月29日(日)まで
イオン大曲店で今回のプロジェクトの報告パネルと「絵」が展示されています。
同時に中学生の美術の作品も展示してあり、
パッケージデザインや地域の写真、その地域にちなんだデザインのコースターなども展示されています。
パッケージデザインではターゲットやコンセプトなどもしっかり考えられており、
美術に関心がない方でも商品開発や販売促進などのアイディアにつながるかもしれません。
思春期真っ只中の中学生。
人と異なることは良くないことだと感じて、
自分の意見をなかなか表に出せないでいる。
そんな中学生が自分の感じたことを自分の言葉で共有し、
このプロジェクトの外でも自分で考えて、形にする。
今回のプロジェクトで美術は考える力の源で
思考して試行する
社会人になってからいちばん大切な「考えて行動する」その力を養う科目だったということに気付かされました。
そんな中学生の美術の時間に制作した作品も同時展示しております。
コースターや地域の風景の写真、パッケージデザインなどの作品があり、
特にパッケージデザインに関してはコンセプトやターゲットも考えられており、
そのデザインになった根拠がわかるようになっているので、
普段、アートやデザインといったものと触れ合う機会のない人でも楽しみやすいかもしれません。